日本の皮革技術を支えて70年NPO法人日本皮革技術協会監修
Leather Knowledge Project

皮の物質科学的特性と不安定性

皮はコラーゲン主体の水和三次元ネットワークである。
コラーゲン分子は Gly–X–Y 配列を持つポリペプチド鎖3本から構成され、水素結合により三重らせん構造を形成する。
これらはフィブリルとして約67 nm周期(D周期)を持つ規則構造を示し、さらに繊維束へと階層化する。

しかし、生皮の構造は以下の特性を持つ。

  • 高水活性(aw ≈ 0.98)
  • 熱収縮温度(Ts ≈ 60–65℃)
  • 酵素による分解可能性
  • pH依存的膨潤挙動

水分は繊維間の可動性を高めるが、同時に構造安定性を低下させる。
分子自由度が高いため、外部エネルギー入力により変性しやすい。
この状態は、生体条件下では安定ではあるが、長期使用材料としての安定性は限定的である。
したがって皮は、発生後に保存または安定化処理を受けなければ、構造保持が困難である原料といえる。