革は、次のような連続した工程を経て製品となる。
皮の乾燥重量の約90%程度はコラーゲンである。
コラーゲンは三重らせん構造(triple helix)を持つ繊維状タンパク質であり、分子は規則的に集合してフィブリルを形成し、さらに繊維束として三次元ネットワークを構築する。
しかし、生皮は水分を65~70%程度含む高水和状態にあり、この構造は熱力学的に準安定である。
水和状態に依存した分子間相互作用は可逆的であり、加熱や微生物作用により容易に変性する。
なめしとは、このコラーゲンネットワークに架橋的相互作用を導入し、自由エネルギー地形を再構築する操作である。
その結果、腐敗しやすい生体組織は、熱収縮抵抗性と耐久性を備えた構造材料へ転換される。
革は生体由来材料であり、材料工学的処理を経て成立する。